交通事故に加害者も被害者もないと言われるように、事故で得する人なんて誰一人いません。
池袋の事故で松永真菜さん(31)と長女の莉子ちゃん(3歳)を亡くした夫が少しでも痛ましい事故が起きないようにと悲しみを堪えて記者会見に臨みました。
昨日まで普通に暮らしていた最愛の人が突然の事故で死亡してしまうことなんてあってはならないことです。
ましてや今回の事故では高齢ドライバーによる事故です。やるせない気持ちになりますね。
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池袋交通事故、遺族の会見全文
事故が起きたのが19日、会見を開いたのが22日。
事故から1週間も経っていないのに会見を開いた夫の心情を思うと胸が締め付けられてしまいます。
遺族の会見全文
まず、まず最初に事故現場の献花台にあふれるほどの花を手向けて下さった皆様、妻と娘に寄り添い、心を痛めて下さっている皆様、皆様の温かい心に、本当に感謝しています。
最愛の妻と娘を突然失い、ただただ涙することしかできず、絶望しています。
娘がこの先どんどん成長し、大人になり、妻と私の元を離れ、妻と寿命尽きるまで一緒にいる。そう、信じていましたが、たった一瞬で私たちの未来は奪われてしまいました。悔しくて悔しくて仕方がありません。この悔しさはどれだけ時間が経っても消えないでしょう。
妻と娘は本当に優しく、人を恨むような性格ではありませんでした。私も2人を尊重し、本来ならばそうしたいです。ですが、私の最愛の2人の命を奪ったという相応の罪を償って欲しいです。
この数日間、何度も、この先、生きていく意味があるのかと自問自答しました。しかし、同時に今回の事故での妻と娘のような被害者と、私のような悲しむ遺族を今後絶対に出してはいけないとも思いました。そのために私は妻と娘の画像を公開することを決断いたしました。
妻はとても恥ずかしがり屋で、フェイスブックなどで顔を公開することもないような控えめな性格でした。そのため、本当に苦渋の決断でした。
この画像を見ていただき、必死に生きていた若い女性と、たった3年しか生きられなかった命があったんだということを現実的に感じていただきたいです。
現実的に感じていただければ、運転に不安があることを自覚した上での運転や飲酒運転、あおり運転、運転中の携帯電話の使用などの危険運転をしそうになった時、亡くなった2人を思い出し、思いとどまってくれるかもしれない。そうすれば、亡くならなくていい人が、亡くならずにすむかもしれない。そう思ったのです。
それぞれのご家庭で事情があることは重々承知しておりますが、少しでも運転に不安がある人は車を運転しないという選択肢を考えて欲しい。
また、周囲の方々も本人に働きかけて欲しい。家族の中に運転に不安のある方がいるならば、いま一度家族内で考えて欲しい。それが世の中に広がれば、交通事故による犠牲者を減らせるかもしれない。そうすれば、妻と娘も少しは浮かばれるのではないかと思います。
今回の事故をきっかけに、さまざまな議論がなされ、少しでも交通事故による犠牲者のいなくなる未来になって欲しいです。
本当は会見を開くような心情ではないはずです。
そこをグッと堪えて、敢えて記者会見まで開いたのは、妻と娘の死を無駄にしたくない、二人が生きた証を残したい、その一心にあると思います。
愛する人が突然いなくなることはとても辛くやり切れない気持ちになります。
そのような経験をされた方もいるでしょう。また、経験がなくても想像するだけで胸が締め付けられてしまいます。
遺族のこの気持ちを絶対に無駄にしてはいけないと強く思いました。
交通事故が起きる確率
1年間の交通事故による死傷者数と日本の総人口から1年間で事故にあう確率がおおよそですが算出されます。
1年間で交通事故に遭う確率は約0.9%です。
もちろん確率論なので全く事故に遭遇しない人もいれば、何度も事故に遭う人もいるわけです。
主要都市や交通量の多い地域に住んでいればそれだけ事故になる確率も上がってしまいます。
様々な条件はあるにしろ、一つ言えることは誰でも突然交通事故により死傷する可能性があるということです。
今回の事故のように、突然命を落としてしまうケースも例外ではなく、自分自身が今日事故で無くなる可能性は否定できません。
自分がどんなに気を付けていても偶然にも起こってしまうのが交通事故の怖いところです。
道路交通法を改正し高齢者ドライバーには年齢制限を
現在の道路交通法の規定では、18歳以上であれば誰でも自動車運転免許証を取得することが出来ます。
例え、高齢者と言われる60歳以上の人でも試験さえクリアできれば運転免許証は貰えるのです。
しかし、実際には高齢ドライバーによる交通事故は増えていて、年齢による免許証の失効などの規定が望まれています。
道路交通法の運転免許の規定条文
道路交通法による運転免許証の交付は行政法上の許可にあたり、一般的に禁止されているものを一定条件をクリアすれば誰でも解除される仕組みになっています。
道路交通法の規定は以下の2つの条文にあります。
【道路交通法64条第1項】
何人も、第八十四条第一項の規定による公安委員会の運転免許を受けないで、自動車又は原動機付自転車を運転してはならない。
自動車及び原動機付自転車(以下「自動車等」という。)を運転しようとする者は、公安委員会の運転免許(以下「免許」という。)を受けなければならない。
会見で遺族の方も言われていましたが、生活のためにどうしても車が必要な人も中にはいます。
でも、禁止せざるを得ない特段の理由(例えば、70歳以上)があれば免許をはく奪するには大きな意味があります。
高齢者ドライバーの高齢者講習
70歳以上の人が免許を更新する場合、必ず「高齢者講習」を受けなければいけません。
歳を取れば取るほど身体能力などが低下するのはしょうがないことです。著しい低下があれば運転免許証の更新が出来ない制度は一応あるにはあります。
ただ、ビデオで交通ルールや事故についての再確認や機械による動体視力などの測定、そして実技をしながら教官からの助言を聞くだけです。
しかし、70歳以上になれば誰でも運転能力は下がってくるし、出来れば運転しない方がいいのは本人も自覚しているはずです。
運転免許証の自主返納
運転免許証を持っているけど、運転に自信がなくなってきたり、家族が心配するケースもあります。
その場合、免許証を自主返納することも出来ます。
自主返納することで自分の人生を諦めてしまうと思われてしまいがちですが、そんなことはありません。
加齢による身体能力の低下は誰でも起こることです。交通事故を起こしてからでは手遅れなのです。
そういう意味でも勇気ある決断になるのが「自主返納」だと言えます。
交通事故を起こさないためのドライバーの注意点
交通事故を起こさないために出来ることは何があると思いますか?
日頃から運転されている人なら「あ、危ない…」と感じたことは一度や二度はあるはずです。
どのようなことに注意して運転すればいいのでしょうか。
- 体調が悪い時は運転を控える
- 常に周りに注意する
- 黄色信号では通過しない
- 車間距離を十分に取る
- スピードを出し過ぎない
自動車の運転は常に安全を心掛ける必要があります。
しかし実際には、体調が悪かったり、考え事をしていたり、仕事で急いでいたり、運転をする際には様々な障害があります。
まず第一に余裕を持って運転する。そしてスピードを出し過ぎないことです。
時間には余裕を持って行動すれば急いでスピードを出すようなことも少なくなるし、気持ちの余裕を持って運転することが出来ます。
また、運転中に突然体調が悪くなることも出てきます。
そんな時は、ハザードランプを付けながらゆっくり減速し、道路の左側に徐行しながら停車していきましょう。
場合によっては発煙筒や三角表示板で後続車に注意を促していき、追突事故の防止に努めてください。
最後に
交通事故には悲しみしかありません。出来れば無くなることを強く望みます。
しかし、ちょっとした気遣いの心や優しい気持ちを持つことができれば、交通事故は減少していきます。
池袋のような悲惨な事故が今後起きないことを願うばかりです。