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『派遣労働者の自宅待機問題』泣き寝入りせず休業手当、休業補償を請求しよう!

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派遣労働者の問題は、日本の雇用問題を考える上で切り離せない問題です。

派遣労働者の基本から困った時に使える休業手当、休業補償、そして改正労働者派遣法についても言及していきます。

一つ言えることは、派遣労働者も一人の人間です。憲法22条1項の職業選択の自由が認められるのは当然のことです。

派遣社員が偏見や差別的な取り扱いを受けることは断固として許されることではありません。

Contents

「今日は仕事がないから休んで欲しい」って言われて困る派遣社員

人材派遣労働者の雇用形態と過酷な実態

派遣社員の雇用形態

正社員や契約社員、そしてアルバイト等の直接雇用との大きな違いは「雇用契約を結ぶ会社」と「実際に働く会社」が違うところです。

通常、直接雇用として働く際には会社と雇用契約を結んだ上で労働を提供することで会社から対価としての賃金を受け取ることが出来ます。

一方、派遣労働者は雇用契約を人材派遣会社と結び、派遣先会社で労働を提供して人材派遣会社から賃金の支払いを受けます。

派遣社員は、労働の指揮、命令は派遣先会社から受けるものの、基本的な賃金、労働条件等の取り決めなどは人材派遣会社と話合う必要があります。

そして、派遣社員として派遣先会社で働くことが出来るのは、人材派遣会社と派遣先企業とが「派遣契約」を締結しているからです。この契約が切れたときは派遣社員として働くことが出来なくなります。

派遣社員はとても弱い立場に置かれている

「派遣労働者」「人材派遣会社」「派遣先会社」では本来、立場的にはそれぞれ平等であるはずです。

しかし、実際の立場はどうでしょうか。以下の構図になっていませんか?

労働者<派遣会社<派遣先会社

派遣社員がもらう給与はどこから支払われているのかと言えば明白です。そうです、派遣先会社です。

派遣先会社は決して安いとは言えないお金を派遣会社に支払っているので、どうしても「高いお金を払ってんだから」って気持ちになってしまうものです。

元々弱い立場の労働者なのですが、派遣社員はさらに立場が弱くなってしまっていることが分かります。

「派遣切り」繁忙期は使うだけ使って閑散期に解雇って最低!

いつ派遣切りに合うのか日々恐怖と闘っている

そもそも、労働者派遣という労働形態が増えたのはなぜだと思いますか?

企業が人材派遣会社を使うメリットを考えていきます。

  • 忙しい時だけ人材を増やせる
  • 高い能力を持った人材の確保
  • 正社員を増やす必要がない

企業には大きなメリットがたくさんあります。あえてデメリットを言うなら、手数料(人材派遣会社に払うマージン)の分、割高になるということです。

では、派遣社員のメリットを次に挙げてみます。

  • 自分のキャリアを生かせる
  • 仕事の選択肢が拡がる
  • 残業がなくプライベートも充実
  • お給料が高い
  • 直ぐに働くことが出来る

派遣労働者にも多くのメリットが存在します。

派遣先企業と労働者とがお互い求め合っている雇用形態が労働者派遣業なのです。

ただ、先ほどもお伝えしましたが、派遣社員は立場的には非常に弱い存在です。法的には平等と言われても、実際はいつ派遣切りに遭うのか怯える日々です。

転職が容易な年齢であればそんなことはないかもしれません。しかし、30代、40代と年齢を重ねるごとに転職しづらい状況になっていきます。その時、派遣で働いている人の心情としては、「ここを切られたら仕事がない」と思ってしまいますよね。

正社員でも再就職が困難な時代です。派遣社員では更なる試練が待ち受けていることは容易に想像できてしまいます。

派遣社員を冷たい目で見る会社

派遣労働者と言えども、会社にとっては立派な戦力です。仕事があまり出来ない、効率が悪いところが例えあったとしてもです。

ちゃんとした労働を提供している訳です。企業にとっては絶対にプラスに働いているはずです。

ところが現場では正社員や契約社員からの冷たい視線を常に感じながら働いているのです。

「時給が高いんだからもっと働いてくれ」「仕事が出来ないから派遣なんじゃないの?」「正社員になれるもんならなってみろ」そんな現場の声も実際にあります。

どうしてそこまで罵られなければいけないのか理解に苦しむ所です。

【条文を伝えるだけで即解決】自宅待機を命じられたら休業補償の請求が出来る

ここでは派遣社員として働いていて理不尽に待機命令を人材派遣会社もしくは、派遣先から言われた場合の簡単な対処法をお伝えしていきます。

これを知ってれば休業手当の請求も楽々です。補償を請求するのは労働者としての当然の権利ですからね。

他の仕事も出来ず収入のない自宅待機って何なの?

仕事が減ると自宅待機を命じる派遣会社

以前、私も短期間ではありますが人材派遣会社に登録し、出向先で仕事をしていました。

製造業の仕事で雇い入れの際には非常に忙しい時期で、企業としても歓迎状態でした。ウェルカムウェルカムです。

しかし、製造業の仕事量の波は変動が激しく、突然仕事が減ることも珍しくないことで、突然、人材派遣会社から「仕事がないので自宅待機していて欲しい」と言われました。

日に日に仕事が少なくなってきたのか、自宅待機の日が増えてきていました。

人材派遣会社には他の仕事がないのか、色々相談はしていたのですが、回答がないままズルズルと自宅待機と出勤を繰り返し安定しない収入が続いていました。

ある一言で、人材派遣会社の態度は一変

積り積もった私のフラストレーションは最高潮に達することになる。

「自宅待機って言われたから大人しく待機していたけど、待機するってことは他の仕事も出来ないので大損じゃん!」超ブチ切れてしまいました。

その状態で人材派遣会社の担当者に電話して「自宅待機って待機補償もらえますよね?労働基準法第26条に書いてあるんで確認してください。」そう伝えて相手方の対応を待つことにしました。

数時間後、「お待たせしました〇〇さん。会社で話合った結果、休業手当をお支払いすることになりました。お手数ですが、時間があるときに事務所に来て頂いても宜しいですか?」って電話がありました。

担当者はあまり法律に詳しくなかった為、企業の担当社会保険労務士等に相談したのでしょう。少しでも法律の知識がある人であれば、すぐに補償は払うべきだと分かりますからね。

仕事を紹介してもらっている手前、人材派遣会社には行きずらかったですが、堂々とサインをして待機分の給与を無事受け取ることが出来ました。

以前、詳しく労働法を勉強していたことが非常に役に立った瞬間でした。

不足部の給与をもらったことの嬉しさよりも、権利を正当に受け取ることが出来た安堵感の方が強かったです。

私は事務所に直接給与を取りにいきましたが、電話で話たくない、担当者に会いたくないのであれば、文書での請求もありです。振込をしてもらえるよう伝えれば担当者と会うこともありませんからね。

その人材派遣会社とは自然消滅し、その後運よく派遣先会社に直接雇用されることになったのですが、あまりにもお粗末な会社だったので結果的には退職しました。いい勉強になったと思っています。

労働基準法第26条の休業手当

人材派遣会社の態度を一変させた労働基準法26条を見ていくことにします。

(休業手当)
第26条  使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

「使用者」とは人材派遣会社のことで、「使用者の責に帰すべき事由」というのが仕事が少なくなっている企業に対して何らかの処置を取れていなかったことです。

日当の6割補償が休業手当となっていますが、例えば、日当1万円の仕事で途中で帰されて6千円分の給与しか貰えなかった場合は、休業手当の補償はありません。

6割補償でも貰えないよりはましですが、安定収入の観点からは早く良い職場への転職を探していくことの方がとても大事です。

無能な人材派遣会社は派遣業をする資格なし!

人材派遣会社といっても様々な職種を扱っているので種類も豊富です。

ただ、派遣社員をないがしろにするような派遣業は存在価値なんてないです。私欲のみで会社を立ち上げているのであれば、今すぐにでもやめて欲しいのが私の本音です。

待機補償も言わなければ払ってくれない。知識がない人にはスルーし続ける会社はいづれは倒産することでしょう。

人材派遣業は労働者にとっても、起業にとっても大きなメリットがあり、誇るべき仕事です。一人の人間の人生をも左右する仕事を紹介することにもっと責任をもって運営してもらいたいですね。

労災保険の休業補償で怪我をしても安心

労働上の怪我は休業補償の対象

労災保険料は全額会社負担

労働中に怪我をした場合、怪我の大小に関わらず「労災指定病院」に行けば病院代金は必要ありません。なぜなら、労災保険から「療養補償給付」により怪我の治療費が出るからです。

また、この労災保険は労働者ではなく、会社が保険料を全額払わなければいけないように法律に規定されています。

仕事中に怪我をしたら労災指定病院に行けば自己負担無し

仕事中の怪我の中には、通勤中の怪我も含まれています。

しばしば、通勤ルートによっては労災の認定がされないケースもありますが、最近では通勤中の労災も著しく労働からかけ離れている以外は認められるようにはなってきました。

まず、仕事中の怪我の治療は「労災指定病院」で見てもらうことでその場でお金を支払う必要はなくなります。

労災指定病院といっても、大き目のほとんどの病院が労災指定病院です。分からない場合は病院に直接聞いてみるか、労働基準監督署で教えてもらえます。

ただ、緊急を要する場合はその確認も出来ずに病院に駆け込むこともあります。もし労災指定病院以外の場合、一旦は治療費を支払う必要があります。

また、仕事中、通勤途中の怪我には健康保険は使えないことになっています。

もし誤って健康保険を使った場合は全国健康保険協会(協会けんぽ)が負担している医療費7割を協会けんぽへ返却してから労災保険へ請求する手続きを行わないといけなくなり少々面倒なことになります。

あとで払い戻しがあるとは言え、医療費が高額になれば社員の負担は大きくなります。そういうトラブルを避けるためにも最初から労災指定病院を受診するようにしていきましょう。

休業補償給付とは?

休業補償給付とは、労働上の原因による病気や怪我の治療の為、会社を4日以上休んだ場合に、4日目以降平均賃金の約80%が給付される制度のことです(労働者災害補償保険法第14条及び第22条の2項に記載)。

では、怪我をして3日間は補償されないのかと言えばそんなことはありません。

休業した初日から3日目までは待機期間として、業務災害の場合は、労働基準法の規程に基づいて事業主は平均賃金の6割の「休業補償」を支払わなければいけません。ちなみに、通勤災害の場合は3日間の休業補償の支払い義務は会社にはありません。

また、休業補償以外にも療養開始後1年6ヶ月を経過しても治癒せず、傷病等級に該当したときに受け取れる「傷病年金」、傷病が治癒したとき一定の障害が残った場合には「障害給付」、さらに通勤途中の死亡に対して支給される「遺族給付」があります。

これらの補償を受けるには請求する必要があり、請求には2年または5年の時効が存在します。あとで後悔しないように早めの給付申請をしてください。

療養給付 療養に要する費用を支払った日の翌日から起算して2年
休業給付 労働不能となった日の翌日から起算して2年
介護給付 介護を受けた月の翌月の初日から起算して2年
障害年金前払一時金 傷病が治った日の翌日から起算して2年
遺族年金前払一時金 労働者が死亡した日の翌日から起算して2年
葬祭給付 労働者が死亡した日の翌日から起算して2年
二次健康診断等給付 労働者が一次健康診断の結果を知った日の翌日から起算して2年
障害年金 傷病が治った日の翌日から起算して5年
障害一時金 傷病が治った日の翌日から起算して5年
障害年金差額一時金 障害補償年金の受給権者が死亡した日の翌日から5年
遺族年金 労働者が死亡した日の翌日から起算して5年
遺族一時金 労働者が死亡した日の翌日から起算して5年

労災隠しをする会社は違法です

会社によっては仕事中の怪我であっても「健康保険を使ってくれ」、「労災ではない」、「会社には非がない」と言って業務上の怪我を認めなかったり、労災にしたくない会社もあります。

そのような対応をする場合いくつかの理由が考えられますが主な理由は以下の2つです。

  • 店舗の責任者が労災保険が使えると知らない
  • 労働基準監督署からの調査、指導、行政処分を恐れている

特に、労基からの指導を恐れている会社が多いのではないでしょうか。

なぜなら、あまりにも労災が多い会社は労働基準監督署からの業務改善命令や、悪質な場合には業務停止命令をくらう場合があるからです。

法令順守(コンプライアンス)は会社の価値を高める現代において、労災隠しをするのは会社としてのデメリットしかありません。きちんと社員の健康を第一に考える会社こそが生き残る時代に突入しています。

「改正労働者派遣法」のポイント解説

ここではH27年に労働者派遣法が改正されましたが、その改正で何が変わるのかを簡単にまとめています。

改正労働者派遣法の3つのポイント

  1. 全ての労働者派遣事業が許可制へ
  2. 雇用安定とキャリアアップ
  3. 専門26業務の派遣期間無期限廃止

①全ての労働者派遣事業が許可制へ

これまでは労働者派遣業を営むためには「届出制」と「許可制」の二つの方法が存在しました。

具体的にはIT、プログラマー、機械工学関係などのの特定労働者は派遣元に〝常時雇用〟されていたため、厚生労働省に形式的な文書だけの届出をするだけで良かったのです。

しかし、改正されてからは、派遣事業の枠を一本化し、全ての派遣業は「厚生労働大臣の許可が必要」になりました。

それにより、これまで届出制により事業を行っていた特定労働者派遣事業はどうしても法令を守らない事業が横行していましたのですが、これからは営業の許可の取り消しもあり得るということで、更なる派遣事業の健全化が図れることになります。

法令順守しない派遣業は営業を認められなくなるということです。

②雇用安定とキャリアアップ

そして第二のポイントは、派遣社員に対しての人材派遣会社への法的な義務付けが規定されました。以下の3つです。

計画的な教育訓練の実施
希望者へのキャリアコンサルティングの実施
派遣期間終了時には、雇用安定措置を実施

人材派遣会社と派遣先会社では、派遣労働者の福利厚生の利用、教育、訓練などについても配慮する義務が課せられます。

また、派遣先企業では派遣社員に対して自社で直接雇用している社員との差異が生じないように措置を講じる必要も出てきました。

これまで差別的な扱いを受け続けてきた派遣社員です。少しでも働きやすい環境を整えようとして改正されたのが改正労働者派遣法なのです。

③専門26業務の派遣期間の無期限が廃止

さらに、改正労働者派遣法により、新しい期間制限制度が設けられました。

派遣先の同一の事業所における派遣労働者の受け入れは3年が上限。派遣先の同一の組織単位における同一の派遣労働者の受け入れは3年が上限となります。

つまり、派遣労働者は3年が経過した時点で3つの選択肢を与えられることになります。

派遣先に直接雇用」OR「人材派遣会社で無期限雇用してもらい継続して受け入れ先で働く」OR「人材派遣会社から次の派遣先を紹介してもらう

派遣労働者にとって一番良い選択を自ら選べる機会を与えられるということです。

もちろん、派遣元会社や派遣先会社との協議や話合いは必要ですが、それを含めても今後仕事を続けていく上ではプラスに働くことが予想されます。

これまでは期間が定められていなかったばかりに正社員への道が閉ざされていた人もいるでしょう。しかし、これからは派遣元会社も派遣先会社も真剣に派遣社員のことを考えることが多くなっていきます。

派遣社員も将来の自分を想像しながら日々のキャリアアップを目指す強い意志も必要になってくるはずです。

法律の知識を身に付けることの意味

法よりも強い友との出会い

派遣労働者を軽視する企業体質は、派遣事業法の改正によっても根絶するとは言えない状況です。

そのとき自分の身を守ることが出来るのは自分しかいません。何で守るのか?日本は法治国家です。法律でしか武装できないことになっています。

ただ、法律を使うのは残念ながら一時しのぎに過ぎず、毎回使うわけにはいきません。

派遣社員という社会的には立場が弱い人でも、真剣に仕事に取組み、周りのことを思いやることが出来る人であれば、必ず誰かが味方に付いてくれます。

そのとき、その味方は法律よりも強い存在だと実感できることでしょう。

法知識を身に付け正義のヒーローになろう!

とは言え、法律の知識を身に付けることは得することはあっても、損することはありません。むしろ、自分が置かれている状況を冷静に判断することで、苦難を乗り越える思いがけない知恵をも絞りだすことが出来るようになります。

また、大切な人を法で守ってあげることも出来ます。例え法律家ではなくても。

法の知識を付けるには様々な方法があります。

「公務員試験を受ける」、「法律家を目指す」、「法学検定を受ける」、あるいは「法律の漫画を読む」、「リーガルドラマを観る」ことでも知識の幅は拡がっていきます。

悪いことは悪いと堂々と言えるように、ぜひ法知識を身に付けていってください。

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