連日スポーツ界のパワハラが取り沙汰されていますが、昔はそれが当たり前だと思われていた事でも、実は間違っていたってことがかなりあります。パワハラの背景にあるものは何なのだろうか?
Contents
スポーツのパワハラ問題
スポーツ界はハラスメントだらけ
みんな何となく分かっていた事、気付いていた事だが、スポーツ界には今もパワハラが多く存在し、それに苦しめられている人がたくさんいます。スポーツ界全体が変わらなければいけない時が来たのではないでしょうか。
レスリングの金メダリストへのパワハラ
レスリングのオリンピック4連覇達成、伊調馨選手への栄監督のパワハラ問題がスポーツ界を大きく揺るがすことになりました。
TVでオリンピックを見ていると伊調選手と栄監督は共に信頼し頑張ってメダルを取ったように映っていましたが、実は二人は不仲だったのです。「俺の前でよくレスリングができるな」等と監督からの執拗な数々の暴言で苦しめられていたのです。
日大アメフトの悪質タックル
日本大学VS関西学院大学のアメフトの試合中に悪質タックルが行われてしまいました。一見すると分かり辛い光景ではあるのですが、明らかにボールを持っていない選手への危険な行為です。
監督からの指示があっての行為だと誰もが思ったのですが、内田(前)監督、また井上(前)コーチは真っ向から指示を否定したのです。これには驚いてしまいましたね…。当然認めるものだと私を含め国民は思っていたに違いありません。
昭和の時代は監督から殴られるのが当たり前
栄 和人(さかえかずひと)監督は昭和35年生まれ、内田 正人(うちだまさと)監督は昭和30年生まれ、共通点は昭和の人間だと言うことです。
鉄拳が指導の一環
昭和の時代は手を挙げることが学校、職場、スポーツ界では黙認される行為だったのです。殴られる側も自分が悪いんだ、愛の鞭だと思って納得していた人がほとんどでした。日本の社会がそれを認めていたのです。
中でもスポーツ界では監督から殴られる、蹴られるというのが指導の一環として行われ続けていました。今でこそ手を挙げることが指導者としてあるまじき行為だと認識されていますが、昔は手を挙げる監督は権威ある者とされていました。
教育って怖いですね。多くの人がそうやって教育されていると社会全体が当たり前だと認識されるようになっていくのです。戦時中の日本の教育が思い出されます。今私達が平和に暮らせているのは「天皇万歳」と言って命を落としていった先人がいたからこそです。
水分補給にも制限があった
昔は練習中に水分補給の制限があったってご存知ですか?倒れるまで練習するのが昭和流のスポーツの練習だったのです…。恐ろしい光景です。
水を飲むと生き返るような気持ちになります。その気持ちを極限までさせないのも昭和のスポーツの特徴でした。今は科学的にも医学的にも水分補給は必要だと解明されてからはそんなことをする指導者はいませんが…。
漫画『巨人の星』の大リーグボール養成ギプス
星飛雄馬の父、星一徹からの野球英才教育
巨人の星は1966年から1971年まで『週刊少年マガジン』に連載され多くの子供達に愛読され野球に憧れる少年も多かったのです。
主人公の星飛雄馬は父親からの野球の英才教育を受け続けていました。本人は野球を続けたくないと思っていましたが、父親のお陰で最終的には大活躍するシナリオです。やっぱり根性で練習することが大事なんだと世間に知らしめていった代表的なスポーツ漫画です。
大リーグボール養成ギプスが昭和のスポーツ界の全て
大リーグボール養成のために作られた、全身エキスパンダーが当時は大流行していた。通販でも売られており、しかも結構売れていたというから驚きです。
星飛雄馬はこの養成ギプスで大リーグボールを投げることが出来るようになったのです。「努力」「根性」がいかにスポーツには大切かを世間に強く印象付けることになりました。
パワハラの根底にある黒幕
パワハラをするのは個人ですが、一人で行っている訳ではなく、背景には必ず組織が存在します。組織とパワハラをする個人が一体となってハラスメントを行うからこそ、爆発的な力が働くのです。
組織ぐるみの悪しき体質
ハラスメントを放置する企業
ハラスメント問題は仕事をしている人なら誰もが避けて通れない問題です。平社員、中間管理職、管理職、上層部、全ての社員はハラスメントを行うこともあるし、ハラスメントをされる恐れもあります。
しかし、ハラスメントが行われた時にそれをさせないように指示する、予防する対策を取るかどうかで組織の体質が二分していきます。そのまま放置するような会社は、いわゆる「ブラック企業」ということが言えます。
若い世代を中心に、ブラック企業には就職したくない、働きたくないと思う人も多くいます。ハラスメントは日常的に行われる可能性がないとは言い切れないもので、それをいかに対策していくかがブラックとホワイトの分かれ目です。放置するような会社は今後、公にされたり、倒産していく傾向にあります。当然の結果ですね。
トップからの階層的なハラスメント
パワハラ体質は階層的で上から下へと流れていきます。末端の平社員、アルバイトが一番の打撃を受けてしまい何も言えない状態を作っていきます。
管理職だからパワハラを受けないとは限りません。上層部からの圧力は更にきつく、それストレス発散も含めて下へと流れていき、会社全体を悪い体質へと変えていってしまうのです。
巨大な組織に立ち向かう勇気が出ない
一人で組織に勝てるのか?
なぜパワハラに抵抗することが困難なのか?
それは巨大な組織が背景に見え隠れするからです。対抗しようとすれば、それなりに覚悟がいるし、労力も必要になっていきます。
スポーツ界のパワハラが話題になっていますが、組織に対抗出来るだけのマスメディアの力があるからこそ、告発も出来るのです。メディアが取り上げてくれるから告発出来ると言い換えることも出来ます。
一方、普通の会社でのちょっとしたパワハラなんてメディアが取り上げることもなく、あくまで個人と企業の戦いになります。明らかに違法であれば勝算も出てくるのですが、確たる証拠がなければ負けてしまうことも少なくありません。
大きな組織に委縮して諦める人たち
組織の強靭さに委縮してしまい何も言えずに退職を余儀なくされる人が圧倒的に多いことをみんなが認識すべきです。彼らは戦う意思が無かった訳ではないのです。戦わずして負けることが分かっていたので身を引いてしまったのです。
こんなに悔しいことはないですね。それだけ組織の力というのはとてつもなく巨大で、ちょっとやそっとでは太刀打ちできないのです。
しかし、唯一勝率を上げる方法があります。社員が一致団結して会社に訴えることです。簡単なことではありませんが、組織としていは一番やって欲しくないことで、最も打撃を受けてしまう方法です。
上からの圧力で、自分が悪いんだと思わせられてしまうところにパワハラの怖さがあります。一人でも多くの賛同者が集まることがパワハラ根絶には絶対に必要なのです。